【クロダミサト写真展「 Love Letter 」】

News

Ticket

クロダミサト写真展「 Love Letter 」鑑賞予約フォーム

Statement


何年か前の話である。

「今騒がれている荒木さんの“me too”問題知ってる?聞いたことある?」私は勇気を振り絞って沙和子に質問した。
少し緊張していて喉が乾いている。その乾いた喉から頑張って声を出したので、声は少し震えている気がする。
いつもと同じように暑い中、外で撮影しながら何でもない世間話のように聞いてみた。

この質問をすることに少し怖さがあった。その当時騒がれていた“me too”問題のギャラを支払っていないことや、撮影された写真が一体何に使用されているのか被写体の方には知らされずに写真集や雑誌が発売していること、展覧会が開かれていることなど、その問題になっている、ほとんどのことに私と沙和子の関係に当てはまっていた。

日本カメラなど雑誌(出版社)から話が来て、撮影をする機会に恵まれたものはその出版社から沙和子にギャラを支払って貰えたこともあったが、私個人としてはせいぜい交通費を渡したり、ランチを奢ったりする程度だった。

あの“me too”問題は自分の痛いところを突かれた気がしたし、あの問題で世間の目も怖くなった。ヌードを撮影している写真家に対する目がグッと厳しくなると思ったのだ。



何よりこの問題を聞いたとき沙和子はどう思うのか。「私もギャラ貰ってないし、写真が何に使われているのか聞いてない。何なら掲載された雑誌なんかも貰ってないなぁ…」と思ってしまうのか。

モヤモヤした気持ちを抱え続けることに限界があったため、私は沙和子に聞いてみたのだ。



「まぁ契約書きちんと交わしてないのがまずいよな。そこまで信頼関係が築けてない人に契約書なしで撮影させたらあかんやろ。契約書も交さんと撮影させて、後でどうこう言うてもそりゃあかんやろ。」

意外にも沙和子の意見は写真家寄りの意見で、そして沙和子のその言葉から「私たちの間に信頼関係がある」と、沙和子の口から言ってくれていることが何より嬉しかった。

もちろん私と沙和子の間に契約書などを交わしたことは一度もない。

沙和子は「後でどうこう言わない」覚悟を持ってこの場に立ってくれているのだと思うと私の心がとても温かくなった。

沙和子は写真を撮られることが好きなわけでないし、有名になりたいわけでもない。ただ私が「撮らせて」と言うので「いいよ」と答えこの場に立ってくれている。なんの得にもならないけれど、ただ私のお願いを聞いてくれる。

こんな沙和子の無償の愛に甘えて10年が経った。



実際10年を体感してみても、今は年に数回、少ないときは年に1度しか会わないので10年も経った実感がほとんどない。

昔から憧れた大御所の写真家の方々と比べても自分はまだ34歳。先は長い。出来ることなれば70歳くらいまで沙和子を撮影出来ると嬉しい。

憧れの70歳までまだ40年ある。その40年の中で色んなことがあり、きっと撮影出来ない期間も出てくるだろう。それでもまたいつか今撮影しているように、ふわりと会い、撮影出来ていなかった期間を感じさせないようにサラリと撮影出来たら嬉しい。



今回のRIVIEREの展示では、そんな私と沙和子の14年間を詰め込んだ写真集「Love Letter」の出版記念展です。

大学一年生の2006年に沙和子を初めて撮影した「初恋」や去年発表した新作の「Autumn」を含む作品が多く並びます。

こんなご時世ではありますが、足を運んで頂けたら嬉しいです。

クロダミサト

Commentary

Galerie de RIVIEREは、クロダミサト写真展「 Love Letter 」を開催いたします。

クロダミサトさんとの出会いは、2018年に当ギャラリーで個展を開催して頂いた時に遡ります。
詳しくは2018年8月に開催頂いたクロダミサト写真展「美しく嫉妬する」のページをご覧下さい。

その際のご縁もあり、2020年10月に刊行された写真集「 Love Letter 」の刊行記念展示を当ギャラリーで開催頂くこととなりました。
写真集「 Love Letter 」は彼女が被写体の「沙和子」を撮影してきたこれまで10年間の集大成と言える写真集であり、同じ美術大学の同級生という「関係性・つながり」がキーワードとなる写真集だと感じました。

「写真には写真家と被写体のつながりは写るのか?」
私は「写る」と考えており、今回のクロダミサト写真集「 Love Letter 」はまさにこの「つながり」が写っていると言えます。

ここでいう「写る」とは、写真家と被写体の関係性の中に鑑賞者が「感じる」という意味です。写真を観るだけで感じてもいい、写真家の言葉を通じて感じてもいい。観る人にとってそれが「写っている」と認識されることが重要なのです。

新型コロナウイルス感染症の世界的な拡大のなかで、私たちは孤独を感じていると思います。それでも、これまでの関係性やつながりが断たれるわけではありません。
今は会えなくても、これまでもこれからもつながりは続きます。

ギャラリーでの作品鑑賞を通じて、また彼女のステートメントを通じて、鑑賞者の皆さまにこの作品が持つ「つながり」の力を感じて頂ければと思います。

Galerie de RIVIEREは招待展示を通じて、様々な表現活動を行う作家の支援を行って参ります。

RIVIERE

Biography

クロダミサト / KURODA Misato


三重県生まれ。
京都造形芸術大学卒業。東京工芸大学大学院 修士課程修了。
2009年「キヤノン写真新世紀」グランプリ受賞。
現在三重県在住、写真家。


〔個展〕
2020 「Autumn」(金柑画廊/東京)
2020 「Love Letter」(神保町画廊 / 東京)
2019 「クロダミサトヌード写真展」(神保町画廊 / 東京)
2018 「裸婦明媚」(神保町画廊/東京)
2018 「美しく嫉妬する」(Galerie de RIVIERE/大阪)
2018 「ハローハロー」(金柑画廊 / 東京)
2018 「クロダミサト展 春」(Gallery Yocto / 東京)
2017 「KURODA MISATO SHOP」(Alt_Medium / 東京)
2017 「クロダミサトヌード写真展」(神保町画廊 / 東京)
2016 「MISATO KURODA」(OMOTESANDOROCKET / 東京)
2016 「美しく嫉妬する」(神保町画廊 / 東京)
2016 「美しく嫉妬する」(金柑画廊 / 東京)
2016 「My Favorite Things」(神保町画廊 / 東京)
2014 「沙和子」(SLANT / 石川)
2013 「沙和子/沙和子 無償の愛」(project room sasao / 秋田)
2013 「沙和子 無償の愛」(ヴァニラ画廊 / 東京)
2012 「沙和子」(神保町画廊 / 東京)
2011 「沙和子」(GALLERY BAR 風の森 / 東京)
2010 「キヤノン写真新世紀」(東京都写真美術館 / 東京)

〔個展〕
2020 写真集「Love Letter」(青幻舎)
2019 デジタル写真集「I am glad that she is there in front of the sea」(小学館)
2019 ISI PRESS vol.5 (ISI PRESS)
2015 写真集「美しく嫉妬する」(日本カメラ)
2014 フォトエッセイ集「HER」(雷鳥社)
2013 写真集「沙和子 無償の愛」(青幻舎)
2011 写真集「沙和子」(リブロアルテ)

Access

Galerie de RIVIERE
/ ギャルリ・ド・リヴィエール

〒564-0062 大阪府吹田市垂水町3丁目1-17 リヴィエール2F

info.riviere@urdarkroom.com


営業時間

土・日曜日
12:00~19:00(入場は18:30まで)



定休日

月・火・水・木・金曜日


ページトップへ