イケダサトル写真展「no where / now here」

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Statement

肉体で隔てられている限り、人はいつまでも孤独。
どれだけ愛しても、その人の本質は分からない。
他人の痛みで私の身体は痛みません。


でも、家族を持って世界は変わりました。
子供の痛みは比喩ではなく、私の痛みとなります。
隔てられた肉体も、重ねれば熱が伝わります。


そうした繋がりと隔たりの中でシャッターを押します。
私が写す光景は、子供たちが記憶にしていく景色であり、私が辿って来た景色でもあります。
それら共通の記憶は、隔たりに架かる橋になると信じています。


私達はきっと繋がっているし、それを写真で伝えたい。

Commentary

「no where / now here」はイケダサトル氏が日常の風景を撮影した膨大なフィルム写真の中から厳選された約30点で構成されています。

「血の繋がらない他人」が「血の繋がらない家族」となり「自分の血をひいた子供」が生まれ、「家族という特別な存在」となっていく、そんな誰しもが経験するかもしれない「過去から未来」への時間の流れを感じることの出来る写真たちで構成された今回の巡回個展は、イケダサトル氏自身が「家族を持ち世界が変わった」と言うように、見る人の世界観を変える力を持っています。

今回展示されるイケダサトル氏の作品は全てフィルムで撮影され、名古屋の個人ラボ兼ギャラリー・RAINROOTSにて印画紙にアナログ露光でプリントされた写真たちです。
一般的な135フィルム(写ルンです、等)に加え、大きいブローニーフィルムも使用。ブローニーフィルムの中でも、通常の120フィルムと、二倍撮影可能な220フィルムがあり、 イケダサトル氏は 220 フィルムを 6×7(ロクナナ:ブローニーフィルムの撮影サイズ。120フィルムでは10枚、220フィルムでは20枚撮影可能)で年間100本以上撮影、撮影枚数はブローニーフィルムだけで年間2,000枚以上撮影されており、135フィルムも加え作品発表までの延べ数千枚という膨大なフィルム写真の中から選ばれた約30点を展示します。

現在のフィルム写真プリントはデジタル露光とアナログ露光に分けられ、大多数の写真はデジタル露光で仕上げられ、フィルムを一度スキャンしてデジタルデータとし、そのデータを元にレーザーで露光し印画紙に焼き付けます。一方、アナログ露光はフィルムを通った光を直接印画紙に露光し印画紙に焼き付けるため、デジタルデータを経由することなく写真が仕上がります。アナログ露光でプリントを行うためには専用の設備が必要となり、日本でもRAINROOTSやリヴィエールなど、限られた場所で行うことの出来るプリント方法です。

最近若い方を中心に「写ルンですブーム」「フィルム写真ブーム」が来ているかと思えば、「富士フイルムがモノクロフィルムの販売を終了する」というニュースが出るなど、フィルム写真を取り巻く環境は年々厳しくなっており、フィルムで撮ることの意味は人それぞれ異なりますが、改めて「フィルムをアナログ露光でプリントした作品の美しさ」を感じることの出来る展示となっています。

リヴィエール

Biography

イケダサトル

長崎出身、愛知在住。
音楽活動時にフィルム写真を始める。
グループ展に多数参加。Zineも複数発表。
名古屋の個人ラボ兼ギャラリー・RAINROOTSにて暗室を学び、2013年10月RAINROOTS内にて、自ら暗室に入り全てアナログ露光でプリントした展示「Wish you where here」を開催。
2018年1月新宿・Alt_Mediumにて初の個展「no where / now here」を開催。
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〒564-0062 大阪府吹田市垂水町3丁目1-17

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